30代子持ちのキャリアチェンジ記

1991年三重生まれ、金融系SEから転職したい。渋谷区で0&3歳児子育て中。食べることと旅行が生き甲斐

【ななめよみメモ】乳がんと牛乳 ジェイン・プラント

 著者のジェイン・プラント教授は、1945年イギリス生まれ地球科学の研究者である。 

42歳で乳がんになり乳房切除し、その後4回の乳癌再発を経験、放射線治療抗がん剤治療を受けた。 彼女は自分が乳がんになった理由を省察した結果、乳製品がその原因であるという結論に達した。鎖骨上リンパ節に転移した乳がんの治療のために抗がん剤を投与されているとき、乳製品を完全に避けるという食事を実践し、ガンは消えてなくなった。それ以降完全に乳がんフリーの生活を送っている。

 

この本を読んで(改めて)感じたこと

 ・菜食は身体によい。日本の伝統食はガン予防の観点でも優れている。

 ・人間は本来、自然の一部。食物連鎖のてっぺんにいるわけではないし、自然と調和して生きていくもの。

 

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・著者は地球科学者として研究していくうちに地球科学と生命科学の間に驚くほど密接な関係があると知るようになったと言う。環境汚染による健康障害の追求から学んだことは、健康問題を起こす根本的な原因が明らかにならなければ、障害を負った人たちを助けることはできない。さらに、真の原因を明らかにしてその原因を取り除かなければ、その健康問題を解決したと宣言できない、という教訓だった。

 

・科学はなぜ時に人間の幸福に繋がらないのか。 

科学を一本の大きな樫の木に見立て考えると、近年は細い根の最先端で行われている研究に最大の関心と資源が集中してしまっている。地球の生理学を理解するには、地球を一つのシステムとして考えるトップダウンの見方が必要であり、還元主義によるボトムアップのアプローチの限界があると科学者 ジェイムス・Eブロックが著書で述べている。 現在の還元主義科学の状況は、一言で表現すると「ますますたくさんの研究資金を注ぎ込み成果がますます小さくなっている」といえる。このことはインドの古い民話「6人の盲人と象」で例えられる。 6人の盲人それぞれが象の牙や胴体や鼻といった別々の部分に触れてそれが何であるかを議論しても、部分的にはみんなそれぞれ正しいが全体としては間違っている。あまりにも細かい要素や部分にこだわりすぎると木を見て森を見ずとなってしまうのだ。がん研究に関して言えば、癌の発生過程の全体を見ようとせずに、細胞生物学だの分子生物学に頼ってますます細かい部分に分け入ってしまっている。

 

<乳製品が乳がんの原因となる確実な証拠>

・ヨーロッパとアメリカの乳がん発生率が非常に高い。一方で東洋では欧米と比べて伝統的に乳がん前立腺の発生率が低い。

・東洋でも欧米流の生活様式を取り入れるようになると乳がん前立腺がんの発生率が高くなる。 伝統的な食材で西洋にあって東洋にはないものに乳製品がある。

・東洋でも日本のように経済発展につれて乳製品やハンバーガーやソーセージなどの乳牛肉の加工食品が増えるようになった国では、乳がん前立腺癌が増えている。また中国でも都市部で欧米化が進んでいる地域では当該癌の死亡率は地方よりも高い。

・ 遺伝的に発生する乳がんはすべての乳がんの5~10%にすぎない。しかもそれらの中の女性のすべてが乳がんになるわけではなく、 原因となるものを控えることでそのリスクを下げることができる。

・乳製品や乳牛の肉はインスリン様成長因子(IGF-1)や硫酸エストロンなどのホルモンを含んでいる。

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<牛乳の問題点>

・離乳期を過ぎた哺乳動物はミルクを必要としない。人間は離乳期後にもミルクを飲み続ける唯一の哺乳動物である。 

・牛乳は子牛以外の動物が飲むようには作られていない。牛乳の成分は母乳と大きく異なっており、このような高タンパク質飲料を飲んだら子供の未熟な腎臓に大きな負担を与えてしまう。牛乳は急速に成長する子牛(体重が一日に1キロも増える)にとっては完璧なのにものであるが、人間の子供には不適である。ましては大人に害毒以外の何ものでもない。

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igf 1インスリン様成長因子は細胞を大きくする作用がある。 その作用は細胞の分裂増殖が最も盛んな時つまりニューヨークと思春期成人以降は癌の増殖に発揮されるという特徴がある。(アメリカの乳牛は成長ホルモンを投薬されているため、IGF-1の数値が特に高い)。(牛乳に含まれる IGF-1は、カゼインタンパクに保護されているため、消化されずに血液中に吸収される。また最近の牛乳はホモジナイズされているため、小さくなった脂肪球がカプセルになってIGF-1やホルモンなどの生理活性物質を包み込んでしまうため消化液による分解を免れてしまうという研究もある。)

・ 牛乳に含まれるエストロゲンは少量であるから重大な影響をもたらさないと言われているが、いくらのエストロゲンの濃度が高くなくとも、1日に何度となく長期間にわたって乳製品を口にすればそれは乳がん前立腺がんなどのホルモン異常性の癌の細胞分裂増殖を促進する。

・『スポック博士の育児書』は、アメリカでベストセラーとなり日本でも翻訳されている本だ。この育児書は当初は牛乳を勧めており「母乳の代わりに牛乳から作られた粉ミルクで乳児を育てよ」という記載があった。しかし、その後スポック博士は「自然界には離乳期を過ぎてミルクを飲む動物はいない。必要なタンパク質を植物から取った方が子供のカルシウムバランス良くなる」と主張を変えているのだが、日本ではこの最新版の翻訳版が出版されておらず、日本で販売されている『スポック博士の育児書』には「牛乳はカルシウムをたっぷり含むため、子供にたくさん与えよう」と書かれている。

最新版の『スポック博士の育児書』には、以下のような記載もある。

 ・カルシウムをたくさん取ったからといって骨密度が増えるわけではない

 ・スポック博士自身が88歳になってから一切乳製品を辞め、お肉は脂身のない部分を少ししか食べないという食生活に切り替えた。その食事法にしてから2週間で長年、抗生物質の治療で効かなかった慢性気管支炎が治った。同じ食事法で持病の心臓病が良くなった友人もたくさんいる。

 ・精製しない穀物やたくさんの野菜果物を食べてよく体を動かすことも重要である



<著者の食習慣&生活スタイル~プラントプログラム~>

■食習慣の概略

 ①体に不自然な物質を取り込まない(食品からのホルモン、化学物質)

 ②がんの発生を防ぐとされている物質を含む食品の摂取を増やし、細胞分裂に必要な亜鉛ヨウ素葉酸などを十分摂取する。DNAを損傷する活性酸素を取り除く。

 ③有機農産物を新鮮なうちに食べる、加工度高い食品をとらない

 →最良の癌予防食は厳格なビーガン乳がん予防効果のある植物エストロゲンは、ほとんどの果物、野菜、穀物に含まれる。ただ、亜鉛・セレン・ビタミン D と B 12が欠乏しないようには気をつけること。著者も最後のがん再発の際には、食事を完璧なビーガン食とし、腫瘍が消えてからも8ヶ月続けたという。

 

■具体的な食習慣

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■その他生活全般

・食品の包装について、プラスチックに含まれるフタレートとは食品に移行し、 体内に取り込まれる。フタレートは動物実験でオスの生殖機能障害、胎児奇形、癌、不妊が確認されている 。

・環境中の有害物質

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骨粗鬆症の予防に重要なのはカルシウムを摂ることよりも骨からカルシウムが失われるのを防ぐこと。そのためには

  ①適度な運動、太陽光を浴びる(→ビタミンD生成)

  ②動物性タンパク質を摂りすぎない(動物性たんぱく質の多い食事は体内を酸性に傾ける。これを中和するため骨のカルシウムがアルカリとして動員される。この時、副甲状腺ホルモンが離脱したカルシウムを骨に戻すそうとするが、動物性たんぱく質がこの動きを阻害するため、骨由来のカルシウムが尿中に排泄されてしまう)

  ③カフェインの摂取を減らす(カルシウムが尿として流れ出てしまう)

  ④マグネシウム、ホウ素を十分に摂取する(→緑野菜、果物を沢山とる)

 

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著者は乳がんを経験したことで、西洋風の食生活生活スタイルから東洋の伝統的な食事を愛好し自然と調和した生活スタイルや価値観を共有するように生まれ変わった 。

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