30代子持ちのキャリアチェンジ記

1991年三重生まれ、金融系SEから転職したい。渋谷区で0&3歳児子育て中。食べることと旅行が生き甲斐

【ななめよみメモ】食卓の危機 遺伝子組み換え食品と農薬汚染 安田節子

■除草剤ラウンドアップ(主成分グリホサート)

・米国モンサント社(2018年6月ドイツのバイエル社に買収された)は、遺伝子組み換え(GM 種子)90%以上のシェアを占める。ラウンドアップに耐性を持つ GM 作物を開発。

・グリホサートの健康障害→先天性異常の子供、動物実験による癌や細胞腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚がん。妊婦が被曝すると妊娠期間が短くなり低体重の赤ちゃん、その赤ちゃんの将来の糖尿病、高血圧、心臓病などのリスク。

ラウンドアップの過剰な散布により世界中で少なくとも383種類のラウンドアップに耐性を持つ雑草が確認されている。そうするとさらに強い毒性を持つ除草剤が必要になってしまうといういたちごっこになる。

・日本ではグリホサートの残留基準が年々緩和されている。

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・食パンでも国産小麦100%と記載のない食パンはほとんどが輸入小麦でありグリホサートが検出されている。

・グリホサートは神経毒性のある有機リン系農薬である。基準以下であっても慢性的に摂取すると低運動性、筋硬直、低体温、精神機能障害、遅発神経毒性、記憶障害、学習障害が起こるとされる。

・日本ではグリホサートの空中散布も行われており、周辺農地のみならず溜池や水路でも農薬が降り注いでいる。農薬の空中散布は、日本の発達障害の増加の一因と考えられる。

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ネオニコチノイド系農薬

有機リン系と同じく神経毒性をもつ農薬。発達途中の神経に影響し、低濃度の反復的曝露で実験動物の脳に変化を起こした。幼い頃に被爆すると自発性行動の障害や学習能力の障害、成長後のアレルギー反応のリスクを高める

・ 海外、例えばアメリカやフランス、イギリス、韓国などでは使用が禁止されているが、日本では基準緩和が進められている。

残留農薬基準は日本は EU の5~600倍となっている。一例として台湾では残留農薬が多いという理由で日本のイチゴは輸入を拒否されている。

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・市販の緑茶や茶葉からもネオニコチノイド系農薬は検出されている。茶葉は有機栽培のものを選ぼう。 

・日本でネオニコ系農薬の使用量は10年で3倍に増加している。これと並行し発達障害が増加しているように見受けられる。

・単位面積あたりの農薬使用量は OECD 加盟諸国のうち日本は台湾韓国に次ぐ2番目に多い。

・ お米は見栄えを重視し農薬の一斉散布が行われる(たとえばカメムシにより米に斑点ができると米の等級が下げられてしまうため、農薬で一斉に殺している。それにより様々な虫が殺され、土壌がやせ衰える)。

 

GM作物

・国内でGM 作物は栽培されていないが、年間約2000万トンものGM作物を輸入している。

金額ベースでは世界一の輸入大国。GM 品種の認可数でも世界一。

・日本が許可した GM 作物のうち、流通するのは大豆、とうもろこし、綿実、ナタネの4種類。主に食用油(マーガリンドレッシングマヨネーズなど)、家畜飼料に多く使われている。

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・海外では次々とGM 作物の規制が進んでいる。 EU のうち19カ国、ロシアウクライナアゼルバイジャン。イギリスとスコットランドは学校給食に GMを 禁止、レストランメニューに表示義務化。台湾も学校給食に GM 大豆使用禁止など。

 

■除草剤ジカンバ

・ジカンバ耐性を持つ GM 大豆を日本は輸入している。

・ジカンバを浴びても枯れない大豆=大豆にもジカンバは残留している。

日本は2013年に大豆のジカンバ残留基準をアメリカの基準に合わせ、0.05 ppm から10.0 ppm に緩和。

・ジカンバの健康障害→肝臓癌、肝内胆管癌、リンパ性白血病などのがん

農水省が輸入米麦の残留農薬検査をしたところ、この5年間(~2019)で輸入小麦からジカンバが検出されている。残留基準値に対して非常に量は少ないが検出率は年々増加している。



■ゲノム編集

・遺伝子組み換え:別の生物の遺伝子を入れてこれまでにない性物質を作り出す技術。

・ゲノム編集:遺伝子を切断・破壊し、切断された遺伝子は働かなくることで新しい性質を生み出す技術。ゲノム編集で DNA のどの部分でも切断でき、切断した箇所に外来遺伝子を挿入することもできる(例:茶色に変色しないマッシュルーム、GABA を15倍に増やしたトマト、ソラニンの少ないじゃがいも、低アレルゲン卵を産む鶏)。 

・ゲノム編集の危険性は、想定外の遺伝子が壊され生命が持つ恒常性(制御システム)が失われることや、標的遺伝子を破壊した場合それが他のタンパク質に使われていれば他のタンパク質を破壊することにもなり、予想外の毒性やアレルギーの恐れがあることがあげられる。 

EU では、ゲノム編集食品は、遺伝子組み換え作物と同様の環境影響と食品安全評価と追跡可能性の表示が必要とされた。

・日本では安倍総理がゲノム編集を中心とするバイオ技術を迅速に推進するとした。厚労省はゲノム編集食品を安全性審査なし、任意届けだけで販売できる制度をスタートし、消費者庁も表示不要を発表した。アメリカではゲノム編集作物が続々と流通して始めており、日本にも近い将来輸入されると考えられる。

 

■農業に関わる近年の法改正など

種子法廃止、農業競争力強化支援法、種苗法改正この三つはセットである。

・種子法により、戦後の1952年小麦大豆の主要作物の品種開発と管理普及は各都道府県の義務となった。各都道府県は品種開発や、農協を通じて良質な種子を農家に供給する役割を担ってきた。

・2018年4月に種子法が廃止された。政府は、種子法によって民間の参入が妨げられると主張するが、すでに1986年の一部改正により民間企業も主要作物の種子産業に参入している(例:三井化学アグロの「みつひかり」、豊田通商の「しきゆたか」といった企業米。これらの企業米は主にコンビニの弁当などに使われている)。民間企業の種子の価格は各都道府県の奨励品種の10倍もする。

・種子法の廃止と合わせて農業競争力強化支援法が施行された。これにより、都道府県が有する種苗の生産に関する知見を、民間事業者(モンサントなどの海外事業含む)に対して提供することを促進するよう求められた。

・民間米は大規模生産向きの品種であり、企業は単一品種を大量生産することが最も効率よく多様な品種の種子を開発することはしない。農業競争力支援法にも「品種を集約せよ」と書かれており、これにより日本の農作物の品種の多様性が失われつつある

・民間米に関して言えば、企業側に有利な契約が多い。「収穫した米を全量引き取ってもらえる」と契約したが、引き取り価格が年々取り下げられたり、自然災害などにより出荷できなくなった場合の責任を農家に負わせたり、種子の自家採取を禁止され毎年購入しなければならないなど。

2020年種苗法の改定により、農家の自家採種を原則禁止する法案が国会に提出された 。

政府は種苗法改定の目的は日本で開発されたシャインマスカット・紅ほっぺなどの優良品種の海外流出防止を謳っているが、農家の自家採種の禁止が種の海外流出の防止に繋がるか疑問。また、農作物の品種は一般品種と登録品種があり、種苗法により自家採種が禁止されるのはたった10%を占める登録品種のみであるから影響は少ないというが、昨今の野菜類はほとんどが採種ができないハイブリッドの種子のため、毎年農家は種子を購入せざるを得ない。(←ん?それなら種苗法で採種禁止されてもあまりいたくないのでは・・・??

・登録品種の場合、農家は育種権利者に承諾料を支払って毎年承諾を得るか、毎年全ての苗を購入しなければならなくなり、農家の負担が懸念される(企業の登録種子は年々増加値上がり傾向)。



■日本の現状もろもろ

・神経毒性のある他の農薬として、例えばフィプロニル(日本ではコンバットやブラックキャップなどゴキブリ駆除剤に多用されている)は EU では使用が禁止されている。

 

・日本の食料自給率カロリーベースは37%で先進国中最低の数字である穀物自給率はさらに低く28%しかない米は100%だが大豆トウモロコシ小麦菜種などはほとんど輸入である。

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