【ななめよみメモ】「酵素」の謎 鶴見隆史
参考になった ★★★★★
読みやすさ ☆☆★★★
おすすめの読者
・健康な食生活を目指す方 (みんなそうかw)
***
<前提>
・病気は、対処療法では治らない。その原因を取り除かないといけない。
→日本の糖尿病患者は、予備軍も含めると2000万人だが、1960年代初期はわずか3万人。がんは30年間で2.5倍増。アルツハイマー病も急増。子供の肥満もこの30年間で1.5倍近くに増えている。交通事故で亡くなった5歳以下の乳児54人を解剖したところ、42人に動脈硬化があった。
・病気の原因(本書では下記①を正す方法を提示する)。
①食生活の乱れ
②強いストレス
③悪い環境と悪い生活習慣
・栄養素とは
三大栄養素:糖質(エネルギー生産)、タンパク質(骨格・細胞・粘膜の原料、ホルモン調整や免疫維持)、脂質(エネルギー源、ビタミン運搬、体の機能調整、細胞間の情報伝達)
六大栄養素:上記+ビタミン、ミネラル、食物繊維
七大栄養素:上記+水
八大栄養素:上記+ファイトケミカル(植物中に存在する天然の化学物質。抗酸化作用が強い。ポリフェノールやカロテノイドなど)
・インスタントやレトルトなど添加物の多い食品、高たんぱく食品、高GI食品、残留農薬、トランス脂肪酸、加熱加工された無酵素食品は、消化するのに大量の酵素を必要とする。
<酵素の役割・特徴>
・食物を消化する酵素が消化酵素、それ以外は全て代謝酵素で、健康を維持する働きを持つ。酵素は、1日に製造される量が決まっているので、消化酵素で大量消費されると代謝酵素が働かなくなってしまう。
・代謝酵素の働き:各細胞、臓器内でエネルギーの生産や解毒、細胞再生、遺伝子の修復を行う(食物をエネルギーに変えるなど)。活性酸素という人間の健康の害になるものを除去する。
・体の細胞は、酵素という触媒がなければ化学反応が行われない。体内の各臓器内で、酵素が働くことによって栄養素を吸収できる。
例えるなら、栄養素はガソリン、酵素はバッテリーのような存在。あるいは、栄養素は家の素材、酵素は建築に携わる設計士や大工。
・酵素は熱に弱く、生の食材にのみ含まれる(ただし50度で洗うと食物酵素が活性化する)。
<酵素を食することのメリット>
・消化がよく、栄養素がスムーズに吸収でき、消化酵素の消耗が守られる。
・腸内腐敗を減らし、腸内が健康になる。
・血液がサラサラになる→毛細血管の血流(微小循環)が良くなる→さまざまな病気予防となる(卵巣脳腫、子宮筋腫、腎臓病、眼疾患、下肢静脈瘤、脳梗塞、痔、手足の冷え)。
・組織が飢餓状態や酸素不足になると活性酸素が生じ、細胞核の中のDNAを傷つけたり破壊することで細胞のガン化が進む。
・腸は樹木で例えると根っこであり、土壌の栄養が腸内の栄養といえる。栄養吸収細胞を抱える腸内環境が健全でなければ、栄養を取り込めず、腸の中身が腐敗すると体そのものが腐ってしまう。
・口から入った食物は、各臓器の消化酵素によって消化可能な分子レベルにまで切り離され消化されるが、それが十分に行われないと消化不良となり、ガンや難病、アレルギーを引き起こす。
・消化・吸収された三大栄養素は、腸内で「発酵」「腐敗」「異常発酵」「酸敗」という現象が起こる。「発酵」とは、適量の炭水化物が微生物によって分解されるプロセスで体に重要な「短鎖脂肪酸」を作る動きであるが、それ以外の「腐敗」「異常発酵」「酸敗」は栄養素の過剰摂取によって有害物質(窒素残留物や二次胆汁酸)を発生させ、生活習慣病や大腸がん、全身の痛みやコリを引き起こす動きである。この場合、おならが臭くなる。
・健康に良い腸内細菌(善玉菌)を増やす方法:
①プロバイオティクス:ヨーグルトなどにより乳酸菌という微生物を外から補充する、
②プレバイオティクス:食物繊維やオリゴ糖などのエサを腸内に補給し、善玉菌を増殖させる
・食物繊維には非常に多くの役割があり、それによって脂質異常症、糖尿病、動脈硬化などを防ぎ、便秘を解消させる。
・腸内の「発酵」によって作られる短鎖脂肪酸は、肉類や乳製品の脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸に分類されるが、短鎖脂肪酸はエネルギーの活性化、免疫の強化、体液や粘液の生成といった非常に重要な働きをもつため、適量摂取することは非常に重要である。
・著者は、抗がん剤は栄養を吸収する腸絨毛が破壊するため使用しない。また、胃薬の長期服用は胃酸が薄まり腸内のphが上がり細菌が無制限に繁殖し、がんの原因になるため注意が必要。
・体を冷やすと酵素の働きも鈍くなる。人間の適正体温は36.5度。
・小腸にある腸管免疫は、有害物質や病原菌などの異物に反応し、免疫反応を起こす。腸の活性化は体全体の免疫力の向上につながる。
・免疫力はオナラと便で判断できる。
良い例:黄色い便、バナナ3本分(300~400g)、水に浮く。オナラは臭くない(主成分である窒素、水素、酸素、二酸化炭素、メタンはほぼ無臭)。
悪い例:茶褐色~黒褐色の便。オナラは臭い(悪玉菌によって生成されるアンモニア、硫化水素、インドール、スカトールが悪臭の原因)
<人間を健康にする食事>
・生野菜、果物、改装、芋、豆、穀物、発酵食品(とくに黒酢と梅干し)
いずれも、
・血液サラサラ、血流が良くなる→全身に栄養素や酸素を送り届ける
・腸内腐敗が少ない
・抗酸化力や抗炎症作用が強い
・エネルギーを出す
・生食(酵素を含む):加熱食=6:4が理想。全体の2割は動物性食品。
→生食100%をすすめない理由:
①動物性食品をとらないと、不足する栄養素があるため(特にアミノ酸とビタミンB群)。また、現代の野菜は、土壌の悪化などにより栄養素がかなり落ちてしまっており、野菜だけで栄養素を補うのは難しいため。動物性食品の目安としては、1週間で肉は100~200g、魚は200~300g、卵は3~4個。肉と魚は1日どちらか一方だけ。
②ストレスが溜まる
③加熱した方が栄養価が高まる食品もある。また、加熱により食物の細胞が破壊され、内部の栄養が吸収されやすく消化もよくなる。
・朝食は無しにするか、野菜や果物のみでよい。下記の人体の生理リズムに沿って日中(12時~20時)の食事を心がける。
・4時~12時:毒素排せつ(消化酵素は働いていない)
・12時~20時:栄養補給と消化
・20時~4時:吸収と代謝
また、食べてすぐ寝ることは、休息中に消化酵素を働かせることになるため消化も進まず消化器官にも負担となる。
・体に悪い食材:
・砂糖(ショ糖):大量の分解酵素を必要とし、消化されずに腸内に残ると悪玉菌やカビの繁殖させ腸内腐敗を起こし、血液を汚しあらゆる病気の元となる。さらに活性酸素を発生させ、シミやシワを増やす。
・トランス脂肪酸:マーガリン、ショートニング、ファットスプレッドなど。マーガリンは日の当たる窓際に2年半さらしても酸化せずカビも生えず虫もたからなったという、いわば「プラスチック」のようなもの。トランス脂肪酸は体内で全く代謝できず、それにより形成された細胞膜は糖尿病、ホルモン異常、肝臓障害などのリスクを高める。
・リノール酸:適量は必要だが、過剰摂取により脳卒中、心臓病、がん、アレルギー原因となり老化も進む。世の食品にはリノール酸が沢山使われているため、知らず知らずのうちに過剰摂取しやすいので注意。「植物性油脂」「植物性食用油」はトランス脂肪酸やリノール酸が含まれるので避けた方が良い。
・粉末状のもの:酸化しやすいので要注意。粉末やペースト状になった玄米、ナッツ類、煮干しの粉末など。
・野菜、果物の生の種:発芽しないように種を保護する酵素阻害物質が含まれるため、生のまま種を食べると消化に大量の酵素が使われる。ただし、イチゴ、キュウリ、キウイ、トマト、ナス、オクラなど小さい種であれば大丈夫。
・薬は、あくまで症状を緩和するものであって原因を取り除くものではない。薬は体にとって異物であり、酵素阻害剤となり、栄養素やミネラルの消化吸収を阻害するため、長期服用には注意が必要。
・体に良い食材:
油: 加熱料理 :ゴマ油、ナタネ油、オリーブ油(酸化しにくい)
生のまま :あまに油、エゴマ油、シソ油
玄米:そのままだと毒(酵素阻害物質)が含まれるため必ず下記の下処理を行ってから炊く。また、圧力鍋は避ける(高温で一気に炊くと発がん物質(アクリルアミド)が発生するため)。
①12時間以上浸水
②ローストかフライパンで乾煎りする
③発酵
著者のおすすめは、玄米1~2合に十穀米小さじ2~3、干しヒジキ少々、昆布8~14センチ角を細かく刻んだもの、粉寒天1~2グラム、干ししいたけ1枚を細かく刻んだもの、ゴボウのささがきと生小豆を少々、梅干1~2個、発酵のための糠か麹を入れ、12時間浸水させたらその水のまま炊くこと。梅干が酸化を防ぎ、さらに糠や麹によって事前消化されるため消化しやすい玄米ご飯ができあがる。昆布などの海藻は食物繊維も豊富で短鎖脂肪酸のエサとなる。
すりおろしたリンゴ、大根、山芋、ニンジン、ショウガ、セロリ、カブ、ニンニク、レンコン、タマネギには酵素が沢山含まれる。金属製のおろし器でさらに酵素が活性化する。キュウリは、すりおろすことで脂肪分解酵素(ホスホリパーゼ)が活性化する。
・定期的な断食(ファスティング)は体によい(消化酵素の温存、臓器の休息、大腸の洗浄→血液の質向上→免疫力向上)。